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ダスキンは何故ミスタードーナッツを経営しているのか?

カレン
カレン
お姉ちゃん、大変だよ大変!
リン
リン
ど、どうしたの……
カレン
カレン
この情報はまだ極秘なんだけど
カレン
カレン
今、ミスタードーナッツが全品100円セールをやっているらしんだよ!!
リン
リン
……で?
カレン
カレン
おねーちゃん行こーよー。ミスド行きたい行きたい行きたいー
リン
リン
はぁ…仕方ないわね
カレン
カレン
やったーお姉ちゃん大好き!
カレン
カレン
ゴールデンチョコレートと~、ポン・デ・リングと~、それからそれから
リン
リン
カレン、いくら100円だからって食べすぎてはダメよ。
カレン
カレン
は~い
リン
リン
ゴールデンチョコレートとDポップ、それとポンデリングの抹茶をお願い
カレン
カレン
(お姉ちゃん意外と食べるじゃん……)
カレン
カレン
おいしー
カレン
カレン
やっぱりミスドは100円セールだよね!こんなに美味しいのに100円なんて本当に得した気分だよ!
カレン
カレン
でもこんなに美味しいのに100円って……お店は利益が出てるのかなぁ……
リン
リン
さすがに赤字ということはないと思うわよ。商売をする以上、利益を出すのは当然のことだから。
カレン
カレン
だよねー
カレン
カレン
さすがに損をしようと思ってお店を開く人なんていないもんね!
リン
リン
いえ、いるわよ?
カレン
カレン
え?
リン
リン
ダスキン創業者鈴木清一
カレン
カレン
鈴木清一? 誰それ?
リン
リン
「損の道を選ぶ」という信念で創業した経営者よ。
カレン
カレン
へー
リン
リン
ところでミスタードーナッツの店舗って、よくダスキンのチラシが設置されていると思わない?
カレン
カレン
そう言えば……テーブルの横とかによくある気がする…
リン
リン
実はミスタードーナッツとダスキンは同じ会社なの。
カレン
カレン
そうなんだ……
リン
リン
でもカレン。清掃会社のダスキンと飲食業界のミスタードーナッツがどうして同じ会社なのか気にならないかしら?
カレン
カレン
確かにちょっと気になるかも?
リン
リン
仕方ないわね! それなら私が説明してあげるわ!
カレン
カレン
(お姉ちゃん……説明したくて仕方ないんだなぁ……)

祈りの経営

リン
リン
ところでカレン、ミスドで働いているスタッフはなんて呼ぶか知っているかしら?
カレン
カレン
普通にバイトとか社員とかスタッフじゃないの?
リン
リン
違うわ。ダスキン系列の会社では従業員のことを「働きさん」と呼ぶのよ
カレン
カレン
働きさん?
リン
リン
聞き馴染みのない言葉でしょう? これはダスキンが極めて宗教色の強い企業であることが理由よ
リン
リン
ダスキンの創業者である鈴木清一氏は、若い頃に胸膜炎という重い病気を患ったことをきっかけに金光教の信者になるわ。さらにその後の出会いもあり一燈園の熱心な信者でもあったの。
カレン
カレン
2つの宗教を掛け持ちしてたの?
リン
リン
一燈園は厳密には宗教ではなく”修行場”のようなものと考えた方が分かりやすいと思うわ。
カレン
カレン
どっちにしても宗教色の強い企業ってちょっと怖いよ……
リン
リン
宗教色が強い企業にアレルギー反応が出るのは分かるけど、宗教色が強いこと自体が悪いわけではないわ。
カレン
カレン
でもなぁ……
リン
リン
たしかにダスキンの正社員は一燈園で新人研修をしているくらいだから、宗教色が無いとは決して言えない……
リン
リン
でも二代目社長である駒井茂春さんは金光教ではなく、敬虔な天理教の信者だから決して金光教だけに偏っているというわけではないわよ。
カレン
カレン
その弁明で納得出来るほうがおかしくない?
リン
リン
たしかに鈴木清一氏が敬虔な金光教の信者だったのは事実。そしてその後も宗教色の強い経営陣が多かったのも事実。未だに新人研修で一燈園を使っているのも事実
リン
リン
でも別に宗教色が強いことが悪いわけではないし、ミスドのアルバイトスタッフまで熱心な信者ではないのも事実よ。そもそも清一氏が信者だったとは言え、ダスキンの経営理念は清一氏と当時の働きさんたちが作り上げたものだから、極端にどこかの宗教に寄っているということはないと思うわ
カレン
カレン
まぁ……
リン
リン
とは言え、初期のダスキンが極めて宗教色の強い会社だったの事実よ。株券の一部を一燈園に渡していたし、自社の不動産を勝手に一燈園に売却されるなんている事件もあったみたいだからね。
カレン
カレン
それバリバリの宗教系企業だよね?
リン
リン
清一氏はそれほどまでに敬虔な信者だったのよ。
カレン
カレン
(それで済まして良いレベルなのかなぁ…)
リン
リン
とは言えその宗教観はダスキンにとってプラスに働いたのは間違いないわね。清一氏は利益ばかりを追い求めるのではなく、人様の役に立つことをモットーとしていたのよ
カレン
カレン
でも、利益がないと会社は潰れちゃうよね?
リン
リン
確かに清一氏は「得の道と損の道があるなら、損の道を取れ」と言っているわ。これは大阪商人にありがちな「損して得取れ」という意味ではなく、文字通り「損を取れ」という意味よ。
カレン
カレン
え……損してばっかりじゃん……
リン
リン
あくまでも「損の道と得の道」の両方がある場合の話よ。得の道しかないなら、普通に得をしているから問題ないわ
リン
リン
商売相手と揉めるな、という意味だと考えれば分かりやすいわね。
リン
リン
「相手が笑顔でお金を払うような仕事をしなさい。もしも相手が嫌々お金を払うような商売なら、お金を受け取らず損をしなさい」ということよ。
カレン
カレン
それなら分かりやすいね
リン
リン
さて、それじゃあダスキンの話に戻りましょう。
リン
リン
清一氏はもともと川原商店という蝋の卸会で働いていたわ。最初のうちは割といい加減な社員だったのだけれど、病気になって死の淵を彷徨った結果、覚醒して若手のホープになっていくの。
カレン
カレン
覚醒?
リン
リン
金光教に目覚めたのよ
カレン
カレン
ここで来るんだね…
リン
リン
この頃の清一氏の仕事ぶりを現すエピソードとしてパラフィン蝋の値上げの話があるわ。
リン
リン
ある時、メーカーがパラフィン蝋っていう蝋燭の値段を上げたの。でも川原商店は卸会社だから倉庫にはまだまだ値上げ前のパラフィン蝋が残っていた。
リン
リン
だから清一氏は、倉庫の在庫分だけ「値上げ前の値段」で販売したのよ
カレン
カレン
それってそんなに変なことなの?
リン
リン
川原商店にそのことを話したら「そんなアホなことする奴がいるか!!今すぐ相手先に行って「やっぱり無理です」と断ってこい」と言われたそうよ。落ち込んで相手先に行ったら、全てを悟っていて「ようやく来たか」と言われたから清一氏はかなり驚いたみたいね。
カレン
カレン
どういうこと?
リン
リン
相手の企業も値上げ前の値段で納品できるなんて思っていなかったのよ。若造の清一がそんな話をしたところで、会社がOKを出すはずがない。だから清一が会社で怒られて謝りに来るのを待っていたみたいね
リン
リン
ようするに清一は商売人としては問題があるほどのお人好しだったの。
カレン
カレン
今の所、この人が起業して成功するようにはとても見えないんだけど……どこかでまた覚醒して厳しい人になるの?
リン
リン
ならないわ。この後、一燈園に出会って宗教的に覚醒はするけれど、基本的なところでは清一のお人好しなところは最後まで変わらないの。
リン
リン
でもこのお人好しなところが、後々のダスキンの成功に繋がるのだから世の中分からないものね。
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ABOUT ME
上野
都内某所のホテルスタッフ。 漫画「ラブホの上野さん」の原作など。

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